甘春堂製「桜餅」
「桜餅」(さくらもち)
享保2年(1717)に桜の名所として知られた江戸向島の長命寺の境内で、同寺の門番であった下総国、銚子の山本新六が売り出したのに始まります。
5代将軍・綱吉の元禄年間、向島堤の数百本の桜の木の落葉の掃除に追われた山本新六が、この葉をしょうゆ樽に漬けて売り出しました。しかし、すぐに飽きられたので、桜の葉を塩漬けにし、小麦粉溶いて薄く白焼きにした皮に、小豆のこしあんを包んで2つ折りにし、桜葉を塩抜きにして包みました(皮は着色しないのが長命寺の桜餅の特徴でした)。
これがたちまちのうちに人気を博し、江戸名物の1つになりました。桜葉の香気が餅に移り、その淡雅な様子は春の味わいとして、花見客に大歓迎されたそうです。
その後桜餅は大いに発達し、餅をもち米にしたり、道明寺にしたりされて、270年余り人気を保ち、現代に至っています。塩漬けの桜の葉が、こしあんの風味を引き立てます。
甘春堂の桜餅はもっちりとした道明寺に、愛らしい桜の花びらをのせた、京風桜餅。一度食べたら、毎年これ!と定番にされるお客様も多い御菓子です。
|